.社会 投稿日:2013/12/26
平成26年度予算案で社会保障費は30.5兆円〜社会保障関係費が、歳入規模に見合わない歳出規模になっている現実
石川和男(NPO法人社会保障経済研究所理事長、東京財団上席研究員)
12月24日、平成26年度予算案の総額は95.9兆円で過去最大、国債発行額は41.3兆円(今年度より1.6兆円減)、社会保障費は30.5兆円などとなっている。国債発行額を減らすことは安倍政権への前向きな評価となる一方で、それとは無関係に社会保障費は伸びていく。少子高齢社会の進展は、誰が政権を担っていても止めることはできない。
過去からの推移を見ると、下の資料〔=一般会計歳出の主要経費の推移〕の通り、ここ四半世紀では社会保障関係費と国債費の伸びが顕著だが、他の費目は概ね横這いとなっている。
一時期無駄遣いの象徴のような扱いを受けた公共事業関係費は、1990年代半ばから連発された景気対策で大盤振る舞いされたこともあるが、今は1990年代前半と同水準に戻っている。社会保障関係費が無駄遣いの猛批判を受けることはないが、歳入規模に見合わない歳出規模になっていることは事実だ。
社会保障関係費と国債費の抑制又は削減が最優先であることは、上の資料からも明らかである。他の既得権益を削ることは非常に難しいのだ。社会保障は最重要施策の一つではあるが、最重要とはならない。
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