.国際  投稿日:2018/5/4

北朝鮮の軍事脅威 在韓米軍司令官報告 その2

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古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)

「古森義久の内外透視 」

【まとめ】

・北朝鮮の攻撃で24時間以内に数千人の死傷者、数百万の韓国民の生命に影響が出る。

・北朝鮮はBC(細菌科学)兵器を所有している。

・また、攻撃的なサイバー能力をも拡大し続けている。

 

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ビンセント・ブルックス在韓米軍司令官は3月15日のワシントンでの連邦議会上院軍事委員会での公聴会で朝鮮半島の軍事情勢についての報告書を「証言」として公表した。

ちなみにブルックス司令官(陸軍大将)は1980年に陸軍士官学校を卒業し、黒人として史上でも珍しい優秀な成績と早期の昇進を重ね、韓国、コソボ、中東などの各地で軍務に就いた。中東での米軍の軍事作戦では米軍全体の報道官を務めて、その明解で円滑な戦況発表で知名度を高めた。在韓米軍司令官には2016年3月に就任した。

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▲写真 ビンセント・ブルックス在韓米軍司令官 出典 7th Air Force

ブルックス司令官の報告を続ける。

【ソウル首都圏への砲撃】

北朝鮮の各種の弾道ミサイルがその飛行距離を絶えず延ばしていることは韓国の2500万人の国民、そしてソウル首都圏に住む約15万人のアメリカ国民にとって深刻かつ実体のある脅威ではあるが、これらの米韓両国民は同時に北朝鮮の各種長距離砲の脅威にもさらされている。韓国全体では約25万人のアメリカ国民が居住しており、そのうちの15万人ほどがソウル首都圏内にいるわけだ。

北朝鮮はすでにソウル首都圏内の多様な標的に向かって、ほとんど事前の準備や警告なしに砲弾を撃ち込む能力を有する大砲など火砲類を少なくとも3システム、配備している。この攻撃シナリオの控えめな予測でも、当初の雨あられのような砲弾がまず米韓側の軍事施設に撃ち込まれ、相当の死傷者を出すという。その後の民間施設を標的とした、より大規模な砲撃は最初の24時間以内に数千人の死傷者を出し、さらに数百万単位の韓国民の生命にも影響を及ぼしうる、ともいう。その際には当然、合計数万のアメリカ国民やその他の諸国の国民もその影響下に含まれるだろう。

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▲写真 延坪島(ヨンピョンド)砲撃事件 flickr : Republic of Korea Armed Forces

 

【特殊部隊と化学兵器】 

北朝鮮はこの火砲のほかに世界でも最大規模の特殊部隊と世界第4位の規模の陸軍部隊を保有している。さらに北朝鮮は長年、開発してきた化学兵器プログラムの結果、神経ガス、火ぶくれ、出血ガス、窒息ガスなどを製造する能力を保持するにいたった。そのうえに懸念されるのは北朝鮮が一般の火砲や弾道ミサイルという通常兵器の弾頭などに大量破壊兵器である化学兵器を装着して、使う能力を持っていることだ。

さらに北朝鮮はこれまで判明している研究の内容、インフラ建設、兵器産業の実態から判断すると、細菌戦争を遂行する潜在能力をも有している。

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▲写真 ソウルの地下鉄構内に配備されている防毒マスクなど Photo by James Cridland

 

【サイバー攻撃】

金正恩政権は攻撃的なサイバー能力をも拡大し続けている。2017年5月、北朝鮮発信と認定されたランサムウエア(身代金要求型ウィルス)が全世界のコンピューター・システムを襲った。ランサムウェア(Ransomware)とは、ここ数年、ネット社会を恐怖に陥れてきた破壊的な不正プログラムである。感染したコンピューターは閉鎖され、保存ファイルなどが破壊され、その攻撃を解除するためには仮想通貨での身代金の支払いを強制される。このサイバー攻撃により北朝鮮は2016年に国際金融システムから合計8000万ドルを窃取したとみられる。

複数の信頼できる報告書によると、北朝鮮には約6000人以上の専門ハッカーがいて、政権の兵器開発プログラムを支える財政上のパイプラインや他の諸国や組織から秘密の情報を不正入手し、他の諸国のインフラ機構を混乱させる能力を提供している。

その3に続く。その1

 トップ画像:延坪島(ヨンピョンド)砲撃事件( 北朝鮮による砲撃に対抗する韓国海兵隊の延坪部隊のK-9自走砲)2010年11月23日 flickr : Republic of Korea Armed Forces

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