<地方議員の不祥事続発>せっかくの自民党を追い詰めるチャンスを野党自ら逃している惨状
山田厚俊(ジャーナリスト)
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「せっかく自民党を追い詰めるチャンスなのに、また勝手に野党が転びだした」
8月10日夜、ある政党選対幹部はため息混じりにこう語った。このところ、出るわ出るわ、地方議員の不祥事オンパレード。その多くは自民党系の議員だったから、来年の統一地方選に向け、野党逆転のシナリオを描いていた矢先、とんでもないニュースが飛び込んできたからだ。
とんでもないニュースを前に、おさらいしてみよう。
セクハラやじの鈴木章浩都議(51)を皮切りに、号泣会見で一躍世界で知られることとなった前兵庫県議の野々村竜太郎氏(47)、規制対象となっていた違法ドラッグを所持していたとして薬事法違反の疑いで逮捕されたのは、前神奈川県議の横山幸一容疑者(41)、飛行機内で酒に酔って迷惑行為をしていたとして航空会社から警告を受けていた北海道議会の小畑保則道議(65)は議員辞職した。
野々村氏だけが無所属で、他は皆、自民党系議員だった。ところが今度は、大阪維新の会で問題が勃発した。山本景大阪府議(34)が昨年10月、無料通信アプリLINEで女子中学生らに「ただでは済まさない」「徹底的にやる」と威圧するようなメッセージを相次いで送っていたことが明らかになったのだ。
もう止まらない地方議員の不祥事ドミノ。戦々恐々としている議員はまだたくさんいるのだろう。以前、このコラムでも地方議員の定数削減などの改革の必要性を書いた。しかし、来春の統一地方選までに間に合うわけもなく、各党ともどのように議席確保するのか、頭を悩ませているところだ。
「もはや、男性の新人議員はふるい落とされる可能性が高い。ベテラン議員と新人は女性候補を多数擁立して議席増を狙う」(前出・選対幹部)
しかし、小手先の選挙対策より、各政党が襟を正し、各候補の資質を徹底的に吟味していくことが求められていることを忘れてはならない。
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