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.社会  投稿日:2014/1/29

[女子大生による子宮頸がん予防推進活動]一日に40人が発症し10人が亡くなる『子宮頸がん』の予防を当たり前にする女子大生的ソーシャル・ムーブメント


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新井涼子( 女子大生リボンムーブメント・2代目代表)

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名前は知っている。日本人の死因第一位になっていることも知っている。でも、予防はしない。日本人にとって、がんはそんな存在である。その中でも、若い女性に増えているのが、子宮頸がんである。

子宮の入り口付近、子宮頸部にできる子宮頸がん。一日に40人が発症し、10人が亡くなっている。20~30代女性がかかるがんの中で頻度が最も高い。しかし、発症の原因が分かっており、予防できる病気でもある。

  • 「防ぐことができる病気で悲しむ人がいるなんて、おかしい。」
  • 「予防を当たり前にしよう。」

こんな想いを抱いた女子大生たちが同世代を、社会を変えようと動き始めた。

それが私たち「女子大生リボンムーブメント」である。2006年、2人の女子大生がリボンムーブメントを設立した。現在では、首都圏の大学に通う約20人の大学生、そして、北海道・仙台・名古屋・大阪・福岡にも仲間たちがいる。

団体のモットーは「大切な人に、大切なことを、大切だと伝えよう」。メンバー一人ひとりが「語り手(メッセンジャー)」として、自分の言葉で、子宮頸がんを予防してほしいと伝えている。

 

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子宮頸がんを予防する方法の一つである、検診。同世代の20代における子宮頸がん検診受診率は、20%程度。この受診率を上げなければ、子宮頸がんで悲しむ人は増え続ける。

私たちは考えた。受診率を上げたい。しかし、義務的に「やらされる」ものにしてはだめだ。それでは、みんなが継続的に行う、ムーブメントにはならない。「自分ごと」として捉えた上で、みんなが受けるものにしよう。

この想いをかたちにした取り組みが、自治体との共同企画、受診勧奨である。2009年度から厚生労働省は、20・25・30・35・40歳の女性を対象に、検診の無料クーポン券を配布している。初年度の20歳使用率は、8.6%だった。

この結果をふまえ、受診率と無料クーポン券利用率を向上させるため、東京都豊島区と共同で受診勧奨を行った。私たちが制作した啓発冊子と手描きのイラスト&メッセージを郵送したところ、20歳では7.7% (2009年度)から16.2%(2010年度)と約2倍の成果を残すことができた。他の年代と比較しても、この受診率の上昇の幅は大きなものだった。この取り組みがきっかけとなり、横浜市やさいたま市、横須賀市とも、それぞれの都市に合わせた方法で本企画を行っている。

しかし、まだまだ問題は山積みである。今でも、多くの若い女性の間で子宮頸がん予防は受けるものになっていない。学生だから「できないこと」に目を向けるのではなく、「できる」ことに力一杯取り組む。自分たちの感性を活かして、同世代を、次世代を、そして社会を変えていく。子宮頸がん予防を当たり前にするには、どうすればいいのか。女子大生的ソーシャルムーブメントは、まだまだ続く。

 

【執筆者紹介】

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新井涼子(あらいすずこ)

1991年長野県生まれ。長野県長野高校卒業後、2010年春に横浜市立大学入学。同時期から子宮頸がん予防啓発団体「女子大生リボンムーブメント」に所属し、11年春から2年間、代表を務めた。今春、大学を卒業し、某新聞社の記者になる予定。

 

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