さらば「おっさん政治」女性初の宰相誕生へ
安倍宏行(Japan In-depth 編集長・ジャーナリスト)
「編集長の眼」
【まとめ】
・小池氏の会見に溜飲を下げた女性多し。
・小池氏が知事を辞して衆院選に打って出る可能性高い。
・「希望の党」のポピュリズム政策、しっかり見極める必要有。
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まさか、小池氏が総理の座を狙っているとは?とか書いてある記事を見ると、は?と思う。狙っていたに決まっているじゃないですか、最初っから。ま、知ってて書いているのかもしれませんが。
で、昨日の「希望の党」の記者会見。フラッシュの嵐をテレビで見た知人の女性(経営者:50代)は、「韓流コンサートみたい。(笑)あんなにたくさんのメンズを従えて気持ちいいだろうな~。」と感想を筆者のLINEに送ってきた。が、すぐ次のメッセで「ほんと、ある意味怖い女性だわ。」と続けた。偽らざる感想だろう。
例のYouTube動画にしろ、“リセット代表就任会見”にしろ、全部小池氏がシミュレーションしてきたことであろう。驚くに値しない。気の毒なのは若狭勝氏だ。露払いの役目を仰せつかり、一生懸命PRに励んできた。最後の最後で梯子を外されたが。都知事選から一人小池氏を応援し、自民党を離党して迄ついてきた若狭氏に「リセット」は失礼千万だろう、と思ったが、小池氏に「忖度」の2文字はないことを思い出した。自分が「こう」、と決めたら「そう」なのだ。何しろ“AI”だから普通の人間が叶うわけがない。そこのところ、多くの人が思い知ったことだろう。そこで、先の知人の「コワイ・・・」発言となるわけだ。
▲写真 都知事選に臨む小池百合子氏 2016年7月25日 ©Japan In-depth編集部
同じ日の夜にLINEしてきた弊社でインターンしている女子大生も「怖いんだけどw」と言ってきた。やはり想像できない展開を目の当たりにすると人間、恐怖するのか。しかし、恐れおののいていても仕方ない。船出した「小池丸」は、そう「日本初の女性宰相」という目的地に向けてまっしぐらだ。
その勢いは増すことはあっても鈍ることはないだろう。津波に飲み込まれようとしている民進党は、上へ下への大騒ぎ、見ていて滑稽なほどだ。しかし、彼らにとっては死活問題。まさに生きるか死ぬかだ。解党なんてまだるっこしいもの待ってられるか、さっさと離党して「希望の党」に合流だ!さもありなん。このありさまを見て有権者はどう思って見ているのだろうか?想像するだに恐ろしい・・・。
さてみなさんお忘れかもしれないが、「輝照塾」というものがありましたよね。あの塾生たちはどうなったんでしょうか?確か若狭さんは600人くらい来たのを200人に絞った。その中から国政選挙候補を選ぶんだ、とおっしゃっていました。塾費たしか5万円、3000万円位集まったのでしょうか。
それは兎も角、塾生になったとある地方自治体の女性議員から。「供託金はいくら出せるか、まで聞かれた。が、その後なしのつぶて。ふたを開けたら民進党議員が大量流入、こりゃやられたな・・・。」と自嘲気味に語る。5万円は勉強料と思うしかない、とあきらめ顔だ。
本来は優秀な候補者を政治塾で発掘し、国政に送り込むつもりだったのだろうに、すっかり目算が狂ったと言ってしまえばそれまでだが、大量の元民進党の“党名偽装候補者”が大量に出現するのでは有権者はどっちらけだろう。
それでも多くの小池支持者、特に女性の中には、これで「おっさん政治」にピリオドを打つことができる!「女性初の宰相だ!」と高揚感を抑えられない人がかなりいるのかもしれない。だとすると、小池氏が都知事を辞し、衆議院選に出馬するのはある意味当然であり、何の不思議もない。小池百合子という人は、最終目標が総理になることだからだ。
フジテレビの番組で次の総理は?と聞かれ、「山口那津男さんがいい」とスタジオをけむに巻いた小池氏だが、国政に復帰した後、公明と手を組むことだって十分ありうるわけで、いかにも彼女らしい発言だと妙に感心したものだ。
政策についても豊洲市場移転問題でおなじみ、お得意の“全方位型玉虫色弾”をぶっ放す。「原発ゼロ」と「消費税増税凍結」なんてその最たるものだ。どちらも大向こう受けを狙った政策そのもの。特に前者は、民進党の政策丸のみだし、小泉純一郎元総理を引っ張り出す狙いがみえみえだ。
▲写真 四国電力 伊方原発 2009年 Photo by Yobito KAYANUMA
しかし、「原発ゼロ」は非現実的政策。再エネは増やせば増やすほど電気料金アップにつながり、景気の足を引っ張るのは自明の理。一定程度、安全が確保された原発から再稼働してベース電源を確保することは常識だ。無論そんなこと小池氏はわかっているのだが。
そして「消費税増税凍結」。これも安倍首相の意味不明な「使途変更」に対するアンチテーゼとして有権者に受けるだろうが、よくよく考えたら国の借金を返さないといけなかったはずなのに先送りしたら財政再建は遠のく。それで本当に大丈夫なの?という素朴な疑問がまともな人なら浮かぶはず。
▲写真 愛知県名古屋市大須商店街 出典)フォト蔵
ゆめゆめマスコミが連日垂れ流す「小池劇場」の映像の洪水に騙されることなかれ。この究極のポピュリズムを我々有権者はしかと見て、自分で判断せねばならない。
それにしても、安倍首相が解散とか言い出さなかったらこんなことにはならなかったのに。もしかして小池氏に首相の座を受け渡すかも・・・なんて局面が来るなんて考えもしなかったろう。「政治は一寸先は闇・・・」恐ろしい。
トップ画像:「希望の党」設立会見に臨む小池百合子都知事と参加する国会議員 出典)Japan In-depth編集部
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この記事を書いた人
安倍宏行ジャーナリスト/元・フジテレビ報道局 解説委員
1955年東京生まれ。ジャーナリスト。慶応義塾大学経済学部、国際大学大学院卒。
1979年日産自動車入社。海外輸出・事業計画等。
1992年フジテレビ入社。総理官邸等政治経済キャップ、NY支局長、経済部長、ニュースジャパンキャスター、解説委員、BSフジプライムニュース解説キャスター。
2013年ウェブメディア“Japan in-depth”創刊。危機管理コンサルタント、ブランディングコンサルタント。