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.政治  投稿日:2018/10/23

「エネルギー安定供給は政治の責任」井上信治衆議院議員


 

「細川珠生のモーニングトーク」2018年10月13日放送

細川珠生(政治ジャーナリスト)

Japan In-depth編集部(石田桃子)

【まとめ】

・エネルギーミックス、ベストバランス確保が重要。

・原発再稼働、安全性確保が最優先。経済・社会・政治的な要因に左右されてはいけない。

・政府は技術開発、コスト面の問題解決に力を入れる。

 

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て見ることができません。その場合はJapan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=42556でお読み下さい。】

 

今回のゲストは、衆議院議員井上信治氏。環境副大臣兼内閣府副大臣(原子力防災担当)を3期にわたって務めたほか、自民党「原子力規制に関する特別委員会」委員長を務めるなど、長年原子力問題に携わってきた。今後のエネルギー政策について、政治ジャーナリストの細川珠生氏が話を聞いた。

まず細川氏は、北海道の大規模停電に触れて、エネルギー政策の問題点を挙げた。9月6日の「平成30年北海道胆振東部地震」に伴って発生した大規模停電は、1つの火力発電所に電源を依存していたことが原因と考えられている。細川氏は、火力発電所中心の電力構成はリスクが高いにもかかわらず北海道だけでなく日本全国にみられること、重要な基幹電源である原子力発電所の再稼働が進んでいないことは問題であるとの考えを示した。

これに対して井上氏は、「エネルギーは国民、国家にとって最も重要なインフラであり、国民生活、日本経済のために安定供給を確保することは政治が果たすべき責任」と述べた。自身も、福島原発事故後に原子力防災担当副大臣に就任し、原発事故の恐ろしさやエネルギーの重要性を実感したという。

政策においては、「原発、化石燃料、再生可能エネルギーそれぞれの特性に応じてエネルギーミックスを実現し、ベストバランスを確保することが政策として重要」と述べた。議論・計画の段階で政府が行っていることとして、「第5次エネルギー基本計画」(7月3日閣議決定)を例に挙げた。その中では「S(安全性)+3E(エネルギーの安定供給、経済効率性の向上、環境への適合)」といった観点からエネルギーミックスが考えられている。

細川氏は、エネルギーミックスにより課題を補い合う重要性に同意したうえで、原子力発電所の再稼働が進まない問題を指摘した。第5次エネルギー政策において、2030年までの達成目標に「原子力発電の電力構成比率20~22%」が掲げられたが、現状は目標達成に必要な30基程度の原発稼働には程遠い。「原子力規制委員会による世界最高水準の厳しい安全性審査は、国民特に周辺住民にとっては重要だが、リスクはゼロにならない。このままでいいのか」と懸念を示した。

井上氏は、「原発の稼働には安全性の確保が最優先であり、経済社会的な要因や政治的な要因に左右されてはいけない」と述べた。「原子力規制委員会の安全性の審査に合格したものだけを、地元の理解を得ながら慎重に稼働させるという基本原則を政府目標の達成のために揺るがすことは本末転倒だ」と述べた。

細川氏はさらに、原発再稼働に慎重にならざるを得ない原因について国民の不安の声を挙げ、政府が原発の重要性を国民に周知させることが不足しているのではないかと指摘した。

井上氏は、「原子力規制委員会の審査といった、科学的、技術的な観点から有用性、安全性について認識してもらうことや、CO2排出問題を抱える石炭火力発電や、コストの問題を抱える再生可能エネルギーと一体として考えてもらうことが必要」と述べた。

また、細川氏は、第5次エネルギー基本計画の2030年に向けた施策「再生可能エネルギー/主力電源化への布石」という文言を取り上げて、実現に必要な政策は何か、質問した。

井上氏は、「バックアップ電源に頼らざるを得ない再生エネルギーの不安定性を、蓄電技術や水素技術で克服していく」と述べて、国として技術開発に力を入れる必要性を強調した。また、高いコストがかかることに国民の理解を得ることも課題となるが、FIT制度やイノベーション、生産体制の面で改善できるという見通しを示した。

最後に細川氏は、「国民は原発の問題にばかり注目しがちでエネルギー政策全体に対する関心が低い」と述べ、現状理解の不足と必要性を指摘。さらに、再生エネルギーの技術開発が、将来日本が世界に誇ることのできる強みになる可能性について述べた。

▲写真 「新しいエネルギー基本計画の概要」 出典:経済産業省ウェブサイト

▲写真 FIT制度(再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度)出典:経済産業省資源エネルギー庁ウェブサイト

(この記事はラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2018年10月13日放送の要約です)

 

「細川珠生のモーニングトーク」

ラジオ日本 毎週土曜日午前7時05分~7時20分

ラジオ日本HP http://www.jorf.co.jp/index.php

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細川珠生ブログ  http://tamao-hosokawa.kireiblog.excite.co.jp/

トップ画像:©Japan In-depth編集部


この記事を書いた人
細川珠生政治ジャーナリスト

1991年聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。2004年~2011年まで品川区教育委員。文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。

細川珠生

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