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.政治  投稿日:2019/6/19

「憲法審開催について参院選後判断」自民党憲法改正推進本部長下村博文衆議院議員


安倍宏行、Japan In-depth編集部(石田桃子)

編集長が聞く!」

【まとめ】

・大連立発言は観測気球。

・改憲勢力は野党にもいる。

・憲法審査会開催については参院選後に判断。

 

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されないことがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=46363でお読み下さい。】

 

約一か月後に控える参院選。選挙戦で争点となる重要な議論の一つが、憲法改正議論だ。今回は、自民党憲法改正推進本部長の下村博文・衆議院議員に編集長安倍宏行が話を聞いた。

下村氏は、今月3日夜のBS番組で、憲法改正の国会発議に向けて「大連立を組むというのも考え方だ」と述べ、改憲の実現には政党の枠組みを超えた対応が必要だとの考えを示した。この下村氏の大連立発言に対し、公明党の山口代表はすぐに不快感を示した。

まずこの大連立発言の意図を聞いた。それに対し下村氏は、「これは観測気球。ただ、公明党から予想以上の反発があった。」とした上で、「事前に説明する話じゃないし、その後もしていない。抗議する話ではないと思う。そもそも公明党さんを外すとかいう話ではないし。」と述べた。

下村氏はさらにマスコミが「改憲勢力が3分の2の議席を獲得するかどうか」に焦点を当てていることに対し、「捉え方が間違っているんじゃないか。改憲したくないのは共産党くらいだ。国民民主党は憲法改正反対とは全然言っていない。立憲民主党は、枝野代表が安倍政権下では憲法議論はしないと言っているが、一人一人が憲法改正反対かというとそんなことはない。」と述べ、改憲勢力を政党単位で考えることに疑問を呈した。

現在、改憲議論は停滞している。立憲民主党らが議論に応じず、憲法審査会が開かれないからだ。この状況を打開する方法はないのか、安倍編集長が聞いた。まず下村氏は、2000年に憲法調査会、2007年に憲法審査会が国会に設置された経緯を語った。

▲写真 @Japan In-depth編集部

「3分の2あるから、安倍政権が即強行採決で憲法原案を決めてしまうのではないかと野党が言うが、そんなことは絶対ありえない。もともと調査会を作ることさえ、当時国会で中山太郎さんが相当苦労された。その時、ルールとして全加盟政党の賛同のもとで決めていくと(定めた)。」

一方他の委員会は、国会に政府法案が提出されたら通すことが前提となる。審議の中で、委員長所見とか少数意見は参考、尊重するが、最終的には与党で決める。憲法審査会だけ、そうした民主主義的な多数原理がない中でこれまで来た経緯がある。

こうしたことについて安倍編集長は、「慣習に過ぎないルールに縛られ、議論が進まない現状には疑問が残る。政権を任されているのは政権与党であり、かつ野党内でも多数の人が憲法議論を行うことに賛成している。一部の党の言うことを聞いて議論できない状況に、大多数の国民は納得できないのではないか。」と述べ、一部の政党の反対で憲法審査会が開催されないことに疑問を呈した。

議論の進め方について下村氏は「我々も自民党の4項目の条文イメージ案を議論してくれということではなく、それを憲法審で説明したいと(言っている)。それぞれの党がそれぞれの立場で発言すればいいわけで、制約しているわけではない。」と述べ、改憲勢力が3分の2を超えるかどうかを議論することは意味がないとの考えを示した。

また下村氏は、憲法審査会が開けないことに対し、保守勢力から「自民党はだらしない。他の委員会と同じように委員長職権で開けばよいではないか、なぜ憲法審査会だけそんなに及び腰なんだ。」と批判されていることを明かした。

一方、憲法審査会の今までの20年間の歴史の経緯もあることから、一方的に(これまでの進め方を)変えることは良くない、としながらも、「参議院選挙で一定の国民の審判を経た後、判断すべきことだ。」と述べ、参院選後の憲法審査会開催に意欲を示した。

また、「憲法議論を前に進めようという議員を選ぶのか、憲法議論さえ反対する議員を国会で選んでどんな意味があるのか、ということを参議院選挙でぜひ有権者に訴えたい。」と述べた。

秋の臨時国会で改憲審議が開始され、次の通常国会で発議されれば、その60日から180日後に国民投票、さらにその6か月後に改正新憲法施行というスケジュールになる。安倍首相は、2年前の憲法記念日に「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と明言したが、実現は可能か、安倍編集長が聞いた。

下村氏は、「自民党だけで改憲できるわけではないので、2020年という事は確実には言えない。だから今回の参議院の公約は『早期に』となっている。もちろん2020年にできればいいという前提も中に入っている。」と述べた。

また下村氏は、2020年改憲はテーマによってはあり得る、としながら、国民の憲法改正に対する意識を変える流れを作っていきたいと述べた。また、「構えた議論ではなく、説明を丁寧にしていく必要がある」と述べ、以下の項目を挙げた。

 

1.憲法改正の必要性

なぜ日本だけが、戦後73年間、1度も憲法改正の修正をしなかったのか。国民投票を1度もしたことがないことは、国民主権の理念に反しないのか。考える必要がある。

2.憲法と自衛隊

自衛隊について、憲法学者の6割が違憲としており、国民の9割は存在を認めている。ところが、現行の自衛隊をそのまま明文化するだけの案も含めて、改正案に対する理解が得られていない。

 

下村氏によると、ある学生のボランティアグループが、41大学キャンパスで、5000人を超える学生に対してインタビューを実施したところ、憲法9条の自衛隊明記について、賛成が50%位、反対が20%弱、あとは「わからない」だった。ところが、自衛隊について違憲論も合憲論もあることを説明すると、その結果85%が自衛隊明記賛成になったという。こうしたことを受け、下村氏は、自民党の国会議員が有権者に丁寧に説明する努力をすべきだとの考えを示した。

こうした中、憲法9条の改正以外で、国民の理解を得やすい項目から改憲議論を進めることを視野に入れているのか、安倍編集長が聞いた。

これに対し下村氏は例として、「憲法の文言を旧仮名遣いから現代仮名遣いに変えることや、緊急事態の国会運営や教育などは、比較的国民の理解を得やすい。わかりやすい所からはじめることは、国民に国民投票に慣れてもらうという面でも必要ではないか。憲法議論改正は自衛隊だけの話ではない。国会で3分の2以上の発議ができるのであれば、どんなことだろうといずれも重要なことだ。」と述べた。

トップ画像:©Japan In-depth編集部


この記事を書いた人
安倍宏行ジャーナリスト/元・フジテレビ報道局 解説委員

1955年12月2日 東京都生まれ(60才)1979年慶応義塾大学経済学部卒業、日産自動車入社(海外輸出・事業企画)、1985年国際大学大学院国際関係学科修士課程卒、1992年フジテレビ入社報道局政経部記者、1998年ニューヨーク支局長、2002年ニュースジャパンキャスター、2003年経済部長、2006年解説委員、2009年BSフジ「プライムニュース」解説キャスター、2013年フジテレビ退社、危機管理コンサルティング会社設立。ウェブメディアJapan in-depth編集長就任。

安倍宏行

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