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.政治  投稿日:2019/9/26

「災害対処の教訓共有すべき」参議院議員小西洋之氏


細川珠生(政治ジャーナリスト)

「細川珠生のモーニングトーク」2019年9月14日放送

安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)

【まとめ】

・政府や東京電力は停電の規模と原因、理解していなかった。

・問題解決のための迅速な対応ができなかった。

・政治家、政府、自治体が各地域の災害対処の教訓を共有すべき。

 

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されないことがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=48081でお読みください。】

 

今回のモーニングトークでは参議院議員の小西洋之氏をゲストに招き、政治ジャーナリストの細川珠生が話を聞いた。まず始めに細川氏は千葉県選出の議員である小西氏に台風15号による甚大な被害からの復旧が遅れている原因について伺った。

 

小西氏は原因を2つ上げた。1つ目は、政府や東京電力が今回の停電の規模と原因を理解していなかったこと。小西氏によれば、倒木による電線の断線は、人間で言えば「血管のいろんなところが切れてしまっているようなもの」。このような被害の本質を、政府や東京電力は理解できていなかった、と述べた。

 

2つ目の原因は、問題解決のための迅速な対応ができなかったこと。小西氏は、「安倍政権が組閣という自分たちの政治日程を優先して、やるべき対応ができなかったことが大きな理由だと思う」と述べた。内閣改造による指揮系統の変化も、対応が遅れた一つの要因だと考えられる。

 

県の対応は遅く、協定により各災害自治体に応援職員を翌日には派遣すべきところを、実際に派遣したのも12日であり、県も国も本質を理解していなかった。

©️Japan In-depth編集部

 

また、これらの要請職員とも連携し、国、県、被災自治体が一体となった災害対処を実行する調整を行うのは内閣府を始めとする各省庁であるにもかかわらず、この重要な時期に組閣を行うべきではなかったと述べた。その後の対応にも災害救助法の発令の遅れや軽視の姿勢などが見られた。

 

千葉県南部や外房では農業、漁業ともに甚大な被害が出ており、農協、漁協で被害の算定をしなくてはならないが、停電の影響や避難所のことなどで自治体に算定の余裕はない状態であるのにもかかわらず、例えば、水産省から常駐の職員は派遣されてないのが現状、と小西氏は指摘した。

 

「激甚災害指定を早くするためには口で言うだけではだめ。その制度(激甚災害法のルール)があるわけだから、被害額を算定して内閣府までなんとか出させる(ことが必要)。しかも暫定でよく、(正式な)被害額はあとから差し替えればいい」と述べ、政府は規則に縛られず柔軟な対応をすべきとの考えを示した。

 

加えて小西氏は漁業を例にとり、算定に手が回らない自治体の代わりに政府の役人が現地に赴き、申請書の下書きを作成し自治体のサポートを行うなどの具体的な対応策を取るべきだとの考えを示した。

 

細川氏は「日本は島国であり、自然災害は増えることがあっても減ることはない。もう少し備えをする必要性がある」と述べ、具体的にどのような活動を考えているのか聞いた。

 

これに対し小西氏は、「一番大切なことは政治と行政の体制だ」とした。「長期の停電は現に起こる。国民においても、水や食料や乾電池など、あるいはそれぞれの地域で小さな発電機を備えておくことも必要だ」と述べた。

 

そして、小西氏は、「(東日本)大震災や熊本地震や西日本豪雨災害等の支援業務を行ってきた国会議員や行政には、経験の知見、蓄積はあると思う。しかし今回そうしたものが十分に生かされていない」と述べ、災害に遭った各地域の知見を共有する仕組みの必要性を強調した。

 

また、「今回は、陣頭指揮を政治が取るということができていない」とも指摘した。「災害の政策の意思決定をする人間あるいはそれに近い人間が、現地の最前線まで入って被害の実態を把握して、それを解決するために必要な役所間の調整などをしなくてはならない」と述べた。

 

小西氏は、「常日頃、災害が起きた時には、政治の役割、政府の役割、地方自治体の役割、国民の皆さん自身の備えを、教訓だけではなく訓練も含めて持っていないといけない」と述べた。

 

細川氏は、今回の災害によって、食料の備蓄や通信、医療、衛生に関する問題点が浮き彫りになったことを指摘。「何のための防災大臣か、と感じた国民も多かったと思う。緊張感が足りないのではないか。」と述べた。

 

(この記事はラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2019年9月21日放送の要約です)

 

「細川珠生のモーニングトーク」

ラジオ日本 毎週土曜日午前7時05分~7時20分

ラジオ日本HP http://www.jorf.co.jp/index.php

細川珠生公式HP http://hosokawatamao.com/

細川珠生ブログ http://tamao-hosokawa.kireiblog.excite.co.jp/

トップ画像:©Japan In-depth編集部

 


この記事を書いた人
細川珠生政治ジャーナリスト

1991年聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。2004年~2011年まで品川区教育委員。文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。

細川珠生

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