<フランスの少子化対策>子供3人で15万4000円の減税も!産む気にさせる支援策
ulala(ライター・ブロガー)
「子供は1人か2人」が普通になってきた日本だが、少子化を食い止める方法の一つとして1人当たりが産む人数を増やすことも必要になってくる。そこに着眼点を置いたフランスは「2人以上激励」の対策を進めてきた。特に3人目を境に支援は充実している。そのためか、3人以上子供がいる家庭の率は日本より多い。
日本でも子供が3人以上の世帯にはある程度の配慮をしている。が、児童手当が始まるとすぐ税金での優遇がなくなるなど、少子化の改善を目指している割にはなにか逃げ腰感がぬぐえない。だがフランスの支援は本気度が違う。
「できるだけ子供を産んで欲しいので全力で応援します」
というメッセージがビンビン伝わってくるのだ。子供3人以上に関する主な支援項目を見てみよう。
<所得税>
子供の数が多い程、所得税が減税される。 大人を1、子供2人目までは0.5、3人目以降は1として世帯の人数を算出
例えば…家族内で1人のみの収入、年間所得が630万円の場合の税金
- 2人の場合 31万9620円
- 3人の場合 16万5620円
この例では子供が3人になることで15万4000円減税となる。
<家族手当>
所得制限無しだが、一人っ子では貰えない。2人の場合 1万8109円、3人目から1人増える度に2万3200円プラスされ、3人の場合、4万1309円となる。更に14~20歳までの間は手当が加算される。2人の場合1人分のみ9054円加算されるが、3人以上から全人数分対象になる。
例えば…
- 14歳と18歳 2人の場合 :18109+9054 = 2万7163円
- 14歳、16歳、18歳 3人の場合 :41309+(9054×3) = 6万8471円
<成人手当>
子供が3人以上なら各子供が20歳になっても、いくつかの条件に合えば21歳まで1万1449円の補助。
<低所得で子供が3人以上いる家庭への手当て>
所得が規定金額以下の場合、毎月 2万5928円
<引っ越し手当>
2歳以下の子供がいて3人目が生まれてからの引っ越しに、一度のみ13万6486円の補助。
<その他>
住宅補助や中学、高校で奨学金等があるが、所得制限金額の決定には子供の人数も考慮され3人以上だと更に有利。
所得と子供の人数に合わせて行われている支援は、経済的な子育て負担を軽減し、子供を産むモチベーションを上げていることは間違いない。筆者すら、この支援の違いを目の当たりにして「今から3人目を産むことは可能かしら?」と思わず検討してしまったぐらいなのだから。この明白な態度の現れが、フランスが高い出生率を保っている要因の一つでもあるだろう。
(注)1ユーロ/140円の場合で日本円換算・金額は2014年4月1日現在
(参考)Service-Public.fr(http://www.service-public.fr/)
【執筆者紹介】
ulala(ブロガー/ライター)
日本では大手メーカーでエンジニアとして勤務後、フランスに渡り、パリでWEB関係でプログラマー、システム管理者として勤務。現在は二人の子育ての傍ら、ブログの運営、ライターとして活動中。ほとんど日本人がいない町で、フランス人社会にどっぷり入って生活している体験をふまえたフランスの生活、子育て、教育に関することを中心に書いてます。
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