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.社会  投稿日:2021/5/16

ワクチンウェブ予約ハードル高し


安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)

【まとめ】

・高齢者対象の新型コロナワクチン接種が各自治体で始まっている。

・ウェブ予約はネットに慣れていない人にはハードル高し。

・家族に代行してもらうか、自治体職員がウェブ予約を手伝うサービスも。

 

医療従事者に続き、高齢者の接種が各自治体で始まっている。東京都・世田谷区では高齢者(昭和32年4月1日以前に生まれた方)に対する接種が4月末から始まっていて、筆者も対象者なので、5月11日(火曜)に「新型コロナワクチン接種券」が配送されてきた。その日のうちにインターネットで予約を取ってみた。その時感じたことを紹介しようと思う。

■ ネット予約の難しさ

一言でいうと、ネットに慣れていない人には少々難しい。以下、実際の予約プロセスを紹介する。

まず、区から届く「新型コロナワクチン接種券 在中」と書かれた封書を開封する。

▲写真 「新型コロナワクチン接種券」が同封されている封書 ⒸJapan In-depth編集部

中には、「接種券」、「新型コロナワクチン接種の予診票」、「新型コロナワクチン予防接種についての説明書」、「新型コロナワクチン接種のお知らせ」が同封されている。

「接種券」には予約の時に入力する「券番号」が記載されている。見本として記載されている「券番号」(下の図に赤枠で囲われている)の方が大きく目立つのに対し、「接種券」に記載されている「券番号」は老眼では見えないくらい小さい。間違える高齢者は多いだろう。

▲図 接種券 出典:世田谷区

ワクチン接種当日は、「接種券」と「予診票」、それに「本人確認書類」(運転免許証、マイナンバーカード、健康保険証、パスポート、介護保険被保険者証など)の「3点セット」を持参しなければならない。「予診票」は接種当日持って行けば良い。予約時には特に必要無い。

▲図 予診票 出典:世田谷区

 ワクチン接種のウェブ予約

新型コロナワクチン接種をウェブで申し込む流れは以下の通り。まずは予約サイトにログインだ。電話で予約する方法もあるが、回線が混雑して繋がらないケースが各自治体で頻発している。出来ればウェブ予約がいいだろう。

▲図 新型コロナワクチン接種完了までの流れ 出典:世田谷区新型コロナワクチン接種予約サイトご利用方法のご案内

さて、予約のプロセスだが、

①「ワクチン接種予約サイト」のバナーをクリックすると、「新型コロナワクチン接種インフォメーション」の画面に飛ぶので、「ワクチン接種のご予約はこちら」のバナーをクリック。

▲図 世田谷区ワクチン接種予約サイトバナー 出典:世田谷区

②「ワクチン接種予約サイト」の最初の画面で「個人情報の取り扱いについて同意します」のボックスにチェックを入れる。

③「ワクチン接種予約サイトに進む」のバナーをクリックすると、ログイン画面に飛ぶ。

▲図 世田谷区ワクチン接種予約サイト 出典:世田谷区

④ログイン画面で、「接種券番号」と「パスワード」を入力する。この「パスワード」だが、初回ログイン時は自分の誕生年月日に設定されている。1955年1月1日生まれなら「19550101」の8桁となる。

▲図 世田谷区「ワクチン接種予約サイト」 出典:世田谷区新型コロナワクチン接種予約サイトご利用方法のご案内

⑥ログインすると、登録したメールアドレスへパスワード更新手続きのメールが届き、任意の英数字10桁以上のパスワードの設定が求められる。

▲図 世田谷区「ワクチン接種予約サイト」 出典:世田谷区新型コロナワクチン接種予約サイトご利用方法のご案内

ここまで来てやっとSTEP2「会場と日時の予約」に進める。ここから先は、「世田谷区新型コロナワクチン接種予約サイトご利用方法のご案内」にしたがって進めるとよい。

世田谷区の場合、1回⽬と2回⽬のワクチン接種の会場と⽇時の予約は同時に行うことになっている。自治体によって予約方法は違うので各自治体のホームページで確認していただきたい。

⑦登録情報画⾯で、「詳細情報・ワクチン接種予約」ボタンをクリックする。

⑧「1回⽬」の予約ボタンをクリック。

⑨「施設選択ボタン」をクリック。

⑩施設名と⽇時を⼊⼒して検索ボタンをクリックすると、施設⼀覧が表⽰されるので、 予約したい施設名のボタンをクリック。

ここで、問題は自分の希望する施設(概して家の近く)の正式名称を知っている人は多くはないということだ。したがって、事前に接種会場を確認しておくことをお勧めする。

▲図 区のおしらせ「せたがや」令和3年4月16日号「新型コロナワクチン接種特集号」世田谷区の5月以降開始予定のワクチン接種会場一覧(4月12日正午現在) 出典:世田谷区

希望接種会場(予約サイトでは「施設名」)を入力すると同時に、希望日時を、何月何日から何月何日まで、と幅を持たせて入力する。

しかし、希望する施設が希望する期間に予約できるとは限らない。ここで何回も入力を繰り返すことになる。どうせなら、希望した施設名を入力したら自動的に一番早い予約可能日なのか知らせてくれた方が楽だし、もしくは、施設ごとに予約可能日を一覧表示した方が、予約プロセスは簡単になるだろうに、なぜかこういう仕様なのだ。

結果筆者の場合は、回線の混雑のせいなのか、先のプロセスに進めず「リロードしてください」などと画面表示が頻繁に出た。そのたびに、元の画面に戻り同じプロセスを踏む、ということを死ぬほど繰り返し、ようやく画面に表示されたのが最寄りの駅からは4駅離れた施設。そこでは、7月10日が一番早い予約日だった。約2か月後である。

希望の施設の予約可能日はいつなのか知りたいとも思ったが、そのためには施設名と希望期間を再入力して再確認しなくてはならない。それをやっているうちに今予約できる会場が埋まってしまうかもしれないと思うと、遠かろうが何だろうが、目の前に表示されている施設と日時で予約するしかない、と考え、予約を断行した。

7月10日(土)が1回目、2回目も同時に予約しなければならないが、自動的に3週間後の7月31日(土)と別の施設が表示されたので、これもそのまま予約し、完了となった。なんだかんだ、小1時間はかかったと思う。

最初にも書いたが、ネットに慣れていない人にはかなりハードルは高い。

電話するか、もしくは家族に予約を代行してもらうのがいいだろう。また、自治体によっては、出張所などで職員がウェブ予約を手伝ってくれるところもあるので、利用してみたらどうだろう。(東京都・世田谷区の場合はこちら)ワクチン接種も楽ではないのだ。

▲写真 「新型コロナワクチン接種のお知らせ」1ページ目 ⒸJapan In-depth編集部

▲写真 「新型コロナワクチン接種のお知らせ」2ページ目 ⒸJapan In-depth編集部

▲写真 「新型コロナワクチン接種のお知らせ」3ページ目 ⒸJapan In-depth編集部

▲写真 「新型コロナワクチン接種のお知らせ」4ページ目 ⒸJapan In-depth編集部

トップ写真:ワクチン接種する医療従事者(がん・感染症センター 都立駒込病院にて 2021年3月5日) 出典:Yoshikazu Tsuno – Pool/Getty Images




この記事を書いた人
安倍宏行ジャーナリスト/元・フジテレビ報道局 解説委員

1955年東京生まれ。ジャーナリスト。慶応義塾大学経済学部、国際大学大学院卒。

1979年日産自動車入社。海外輸出・事業計画等。

1992年フジテレビ入社。総理官邸等政治経済キャップ、NY支局長、経済部長、ニュースジャパンキャスター、解説委員、BSフジプライムニュース解説キャスター。

2013年ウェブメディア“Japan in-depth”創刊。危機管理コンサルタント、ブランディングコンサルタント。

安倍宏行

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