[安倍宏行]エステー株式会社・取締役会議長 兼 代表執行役会長(CEO)鈴木喬氏②
Japan In-Depth編集長
安倍宏行(ジャーナリスト)
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[①から続く]今回の訪問、私の新会社の営業も兼ねていた。色々お手伝い出来ることもあるかと思いますが・・・と切り出す私が耳を疑ったのは、
鈴木喬氏「うちはS-TEDってのやってるんだ。TEDって知ってるでしょ?」
はい、知ってます。が、なんですか、その「エステー」にひっかけたダジャレみたいな活動は・・・
鈴木喬氏「工場長とか幹部社員に、社員の前でプレゼンさせるんだよ。TEDみたいに。最初はひどいもんだけど、回数重ねると結構様になってくるんだよね。」
やられた・・・そこまで社内でやってるとは。しかもトップ主導で、だ。社員は正直めちゃ嫌だろうが、プレゼン能力の低さは日本のビジネスマンにとってアキレス腱。それに気付いて、社内でそうした活動を実践している企業がどれだけあるだろうか。リーダーシップと言う言葉は様々な能力を想起させるが、現代社会において、真のリーダーは、”社会に対する温かい目”を持っているかどうかが問われる。
大震災直後、自ら津波の被害に遭い復興をなしとげたリスボンの街をバックに、美しい歌声をお茶の間に届けたミゲル君のCMを覚えている人も多いだろう。お茶の間に勇気と癒しを届けようとしたのだ。また、放射線への不安を解消する為に家庭用放射線測定器も開発した。人々に安心を届けようと動いた。
そして、今年、北海道産トドマツから取れる機能性樹木抽出液を使った空気浄化剤を開発した。この成分は空気を汚染する二酸化窒素(NO2)を減らす効果があるという。この話は、鈴木氏がこの春に熱く語っていたのを思い出す。「今、北海道で新商品の開発をやっているんだ。北海道には沢山のトドマツの原生林がある。それを利用するんだよ。」と。日本の森は戦後整備がきちんとされておらず、健全な状態に保つためには間伐が不可欠だ。その際に出る大量の枝葉から有効成分を抽出するという。まさに一石二鳥、森と空気、双方の課題のソリューションを届けた。
「空気を変えよう」がエステーという企業の目指すスローガン。鈴木会長は、社員にはメチャクチャ厳しい。しかしだ。環境に、そして社会に対する「優しい目」を持っている。それが企業理念として貫かれている限り、この会社の商品は売れるだろう。そんな思いを胸に、高田馬場の新社屋を後にした。
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