党内の憲法改正案取りまとめに全力 細野豪志衆院議員
「細川珠生のモーニングトーク」2018年2月24日放送
細川珠生(政治ジャーナリスト)
Japan In-depth 編集部(駒ヶ嶺明日美)
【まとめ】
・希望の党の憲法第8章の改正案がまとまった。
・自民党案に引きずられることなく党として案をまとめる。
・他の党との協力はその後。
憲法改正の議論が盛り上がりを見せ、野党再編の動きもある中、希望の党は憲法改正条文案をまとめている。今回はゲストに、衆議院議員で希望の党・憲法調査会長の細野豪志氏を迎え、憲法改正について政治ジャーナリストの細川珠生氏が話を聞いた。
細野氏は2月6日、自身のブログで「希望の党の憲法第8章の改正案がまとまりました。改正案のベースは昨年4月に私がまとめた案ですが、昨年来、党内議論を重ねて、多くの議員の意見を取り入れたものとなりました。」と公表している。これについて細川氏は「希望の党として、地方自治の章を先行してまとめたのはなぜか。」と質問した。
細野氏は、いわゆる自民党の改憲4項目について「この国のかたちというよりは、個別テーマについての改正案」と述べ、一方で「地方自治というのは、国がどういう役割を担うか、地方がどこまで何をやれるかという、国の根幹に関わるところ。国の形そのものだと思いまずまとめた。」と第8章改正の重要性を説明した。
また、憲法を制定した戦後当時は全国に自治体が1万以上あり、かつ戦争で疲弊していたことから、日本政府は地方自治の担い手にはなりえないと判断したため、92条以下の内容が薄くなったと指摘し、「条例の制定権、課税権、(地方)議会なども含めて、自由にやれるような改正案を提案していきたい」と述べた。
次に細川氏は、「自民党を中心とした与党側から出される具体的な改正案は、9条への自衛隊明記、緊急事態条項、参議院の合区解消、教育の無償化の4項目に沿った形になると思われる。地方自治などは入っていないが、この4項目を中心に進めていくとなった場合、希望の党として対応する改正案も出す予定なのか。」と希望の党の憲法改正に対する姿勢を質した。
細野氏は、「緊急事態の場合の国政選挙先延ばしは、いかなる状態になっても議会が動いていないと、法律を通せなかったり、政府が暴走してしまったりするリスクがあるので、最大半年くらい先延ばしして立憲主義を守る必要があるので昨年私が提案した。これから与党でも議論されそうなのでそこは歓迎したい。
教育もいいと思う。26条というのは、人権条項の中では比較的具体的に書かれている。戦後70年以上経って、随分状況も変わった。無償化の範囲として、幼児教育から中等教育、具体的には高校くらいまで書いた方が恒久的な制度になるし、予算も優先的に付けられるかもしれない。
合区の話について、一票の重みは非常に重要。合区の話と、92条の改正も出してきている。基礎自治体と広域自治体について書いた条文を自民党が出してきており、こちらが本質。項目が自民党と合いつつある。
我々は自民党に引きずられるつもりはなく、党として案をまとめる。接点があるなら喜んで議論し、いいものができれば望ましい。」とあくまでも希望の党として案をまとめる考えを示した。
細川氏が「一番心配しているのは9条改正の問題。希望の党内でも意見が割れ、どこと協力するかという話に内容が振り回されているように見えるが、実際にはどうなのか。」と希望の党内で意見が割れていることへの懸念を示した。
細野氏は「政治の世界なので政局や選挙が影響するのは仕方がないが、憲法に関してはそれを乗り越えて、国と国民にとって何が良いのかという議論をしないと禍根を残す。憲法改正は前向きにやっていくということで党を作ったのだから、まず希望の党として考え方をしっかりまとめ、それを前提に他の党との協力を考えるのが順序。」と述べ、政局ありきで他党との協力を進める党幹部の姿勢を批判した。
また、「憲法や安全保障の問題は、まず希望の党としてなにをやるのかを考えなければ、新しい政党を作った意味がない。それが固まらない中で、いろんな形での話が出てきているのは残念。私がいま調査会長をやっているのでまとめようと思っている。玉木代表は、自衛権を書くべきと強く思っているようなので、それもチャレンジしてみたい。」と述べ、希望の党の憲法改正案取りまとめに意欲を示した。
続いて細川氏が「民進党の大野元裕氏、立憲民主党の山尾志桜里氏など、他党にも自衛権明記について意見を持っている政治家はいる。同じ政党になる必要はないが、野党連携できる要素にはなりうると思う。」と述べ、憲法改正案を軸として野党間の話し合いの必要性を強調した。その上で議員間で話し合いは行われているのか聞いた。
これに対し細野氏は、「北朝鮮を含めた安全保障環境は厳しく、現行の安保法制を真っ向から否定するような案が出てきて混乱するのは望ましいことではない。また、憲法にどこまで書くかということまで含めて、自衛権の書き方は非常に難しい。従って、他の党・政治家が言うことを見ながら決めるのではなく、まず希望の党としてしっかり決めたい。」と述べ、当面希望の党内における意見集約を優先する考えを強調した。
最後に細川氏は、「選挙時の希望の党は『今の安保法制は認めた上で、足りないところを直していく』という方針だったが、現在は『今の安保法制はダメだ』という表明をしている人もいる。」と述べ、希望の党で意見が割れていること懸念を示した。
細野氏は「党を作った時、線を引いたのは憲法と安全保障。それを前提に希望の党ができて、そこに様々な人が合流してきたという経緯であり、それは大切にしたい。もう党創設時のメンバーは少なく、責任は感じている。憲法調査会長をやっている分については、責任を持ってしっかりやりたい。」と述べ、改めて党内の憲法改正案取りまとめに意欲を示した。
(この記事はラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2018年2月24日放送の要約です)
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この記事を書いた人
細川珠生政治ジャーナリスト
1991年聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。2004年~2011年まで品川区教育委員。文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。