[山田厚俊]<地に堕ちた“維新ブランド”>橋下新党が分裂を覚悟してまで「守ろう」としたもの?
山田厚俊(ジャーナリスト)
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37対23対2。
日本維新の会が分党することになり、6月5日、衆参62議員が執行部に進路を届け出、「橋下新党」37人(衆院31人、参院6人)、「石原新党」23人(衆院20人、参院3人)、いずれにも加わらない「無所属」2人となった。冒頭の数字はその数のことだ。
石原新党には20人に届かないのではないかとの見方もあったが、それぞれの選挙区事情をはじめ、石原陣営の猛烈な勧誘もあり、最終的には23人になった。また、「橋下陣営の中心となる“大阪組”には辟易した。もう“大阪カラー”は必要ない」と、橋下氏を信奉する“大阪組”に決別をする者もいた。
元々、橋下氏が立ち上げた大阪維新の会の掲げた理念に共鳴して政治家を志した者と、石原氏や平沼赳夫氏らが立ち上げた旧太陽の党に惹かれた者とでは「同じ党内の議員であっても、水と油のようなもの」(日本維新の会関係者)だった。だから、党内外から「“離婚”は時間の問題」と言われ続けてきた。
それが、「自民党に対抗しうる二大政党制にするため、野党再編を仕掛け」(日本維新の会幹部)たことにより、江田憲司氏率いる結いの党との連携という党勢拡大路線に走った挙句、分裂した。結いとの連携は、「理念なき野合」「再び数合わせ」などの批判を浴び、石原氏らのブレない右派路線があたかも支持されそうな雰囲気さえ漂う。
しかし、果たしてそうだろうか。何人かの幹部に取材したところによると、一見、数を増やそうと躍起になったかに見えるが、実は橋下新党が分裂を覚悟してまで「守ろう」としたものがあったとしか思えない。それは、5日の会見で松野頼久氏が繰り返し述べた「原点回帰する」というものだ。
地に堕ちた“維新ブランド”を再構築するため、もう一度最初の旗を掲げ直していくというものだ。つまり、今回の分裂は野党再編に失敗したのではなく、これからスタートするための“軌道修正”に他ならないということだ。
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