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.政治  投稿日:2019/2/8

「社会保障制度 現実的かつ抜本的な解決策を」社会保障を立て直す国民会議野田佳彦代表


「細川珠生のモーニングトーク」2019年2月2日放送

細川珠生(政治ジャーナリスト)

Japan In-depth編集部(小俣帆南)

【まとめ】

・自民一強に対抗するには野党同士の連携が不可欠。

・社会保障の議論を促進し、増税に伴う痛税感を避ける。

・人口減少を前提にした社会保障制度の政策立案が必要

 

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されないことがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=44042でお読み下さい。】

 

先月16日、旧民進党系で無所属の衆議院議員7人が、新たな会派「社会保障を立て直す国民会議」を結成した。今回のモーニングトークでは、同会派の代表を務める野田佳彦元首相をゲストに招き、政治ジャーナリストの細川珠生氏が野党の在り方やこれからの社会保障制度について話を聞いた。

野田氏が在籍していた衆議院会派「無所属の会」は、2017年10月実施の衆議院議員総選挙を機に設立された。しかし同会は、2018年12月10日に国会内で会派総会を開き、立憲民主党会派に合流する方針を決定。合流するかどうかは個々の議員の判断に委ねられた。

細川氏は始めに、無所属の会が会派として立憲民主党に合流する決定をしながら、野田氏自身は合流をしないという決定をした理由について尋ねた。

野田氏は現在開会中の通常国会や、今夏に予定されている参議院議員選挙への影響を考慮した上で、「野党第一党を軸に同心円を拡大していくのが一番現実的」と述べ、無所属の会が立憲民主党に合流する方針を決めたことに理解を示した。一方で「最終的な判断は個人に委ねられていた」とした上で、「関係が悪化している立憲民主党と国民民主党の真ん中で仲立ちをし、野党をまとめたい」との考えを示した。さらに自民党の一強状態について「一強を作るのは多弱」と述べ、野党の勢力が分散している今の状態が自民党の独走を許しているとした。その上で「現状を克服する為、少数精鋭ではあるが接着剤のような役割を果たしたい」と、自民党に対抗する為に野党の力を結集させる必要性を強調した。

▲写真 ©Japan In-depth編集部

野田氏のこの意向に対して細川氏は「国民民主党と立憲民主党は人数としても拮抗し、参議院では第一会派を争う」と野党の現状に言及し、2党が合流するのではとの指摘に対しては「もともと一緒だった方々が分かれてまた一緒にやるというのは難しいのではないか」と述べ、両党の大同団結は難しいとの考えを示した。

野田氏は両党が既に独自の見解をもって動いている以上、「全く元通りにするのは困難」「一つの党にするのは無理だと思う」としたが、選挙の時は両党が連携することも必要だとした。「選挙ではやはり自民党が強い。組織力のある公明党と連携したら更に強くなる。それに対抗する野党がバラバラでは、停滞した緊張感のない政治が続く」と述べ、野党間での国会における連携選挙での協力は必要だとの見解を改めて示した。

それに対して細川氏は「候補者調整の結果、エネルギーや憲法などでは全く反対の考えの人を応援することもありえる。」と述べ、「(野党候補者を一本化するにあたり)政策面の多少の差は乗り越えるべきか」と野田氏に尋ねた。

野田氏は「党が違う以上、基本的に考え方は違う」とした上で、「それでも旧民進党であれば折り合える共通部分もあるはず」と述べ、「最低限の共通基盤を作るため」の努力が必要だと指摘した。

また細川氏は、「社会保障を立て直す国民会議」が旗印に掲げる社会保障制度について尋ねた。社会保障について「非常に重要なテーマ」とし、社会保障費捻出の為とも言われている消費増税についても言及した。「もともと野田政権時代に自民党・公明党が合意して、消費税の増税と社会保障の制度維持を決定した。現在は当時の予定を変更しながらではあるが、その決定に則って動いている」と述べ、野田氏が首相だった際に既に消費増税と社会保障制度についての決定がなされていたことを指摘。その上で「今改めて社会保障を立て直すことを旗印にしたのはなぜか」と、野田氏が再び社会保障制度に焦点を絞った背景について尋ねた。

野田氏は、「社会保障と税の一体改革を実現するという法律が通った2012年以来、社会保障の充実・安定、増税して何に使うか、という議論が相当遅れていた」と、消費増税が議論の中心になっている国会の在り方に疑問を呈した。そして「『負担は増えるが、その分社会保障が充実してきた』という実感がなければ痛税感になる」と話し、今まで社会保障に対する議論が停滞していたからこそ、「『社会保障を立て直す国民会議』が、社会保障改革の先頭を切っていきたい」と意欲を示した。

更に社会保障の内容について細川氏は、「今までは年金や介護など高齢者を中心にした社会保障制度だったが、これからは幼児教育の無償化や子育て支援も含めた全世代型の社会保障制度に移行していくのか」と述べ、社会保障と税の一体改革についての今後の方向性について聞いた。

野田氏は「当初から全世代型社会保障ということは言っていた」としながらも、「医療・年金・介護の人生後半の社会保障を安定させる為には、それを支える世代の後押し、つまり人生前半の社会保障を強化する必要がある」と述べ、働き盛りの世代の社会保障を充実させる必要があるとの考えを示した。

加えて細川氏は、「本気で社会保障を立て直す為には、人口が増えていくことを前提に作られている今の制度では不十分。消費増税や内容の充実などといったことでは、立て直しは出来ない。」と述べた。

野田氏も人口減少に歯止めが利かないということを前提にした現実的な政策が必要であることを認め、「今までの政策の延長線上ではない、抜本的な解決を図る別の政策を考えていくべき」と述べた。

(この記事はラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2019年2月2日放送の要約です)

 

「細川珠生のモーニングトーク」

ラジオ日本 毎週土曜日午前7時05分~7時20分

ラジオ日本HP http://www.jorf.co.jp/index.php

細川珠生公式HP http://hosokawatamao.com/

細川珠生ブログ http://tamao-hosokawa.kireiblog.excite.co.jp/

トップ写真:©Japan In-depth編集部


この記事を書いた人
細川珠生政治ジャーナリスト

1991年聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。2004年~2011年まで品川区教育委員。文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。

細川珠生

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