「政治と国民の関係性を作り直す」自民党国会対策副委員長福田達夫衆議院議員
細川珠生(政治ジャーナリスト)
「細川珠緒モーニングトーク」2019年11月23日放送
Japan In-depth 編集部(屋代良樹)
【まとめ】
・社会保障を考える時、政治は国民の価値観と考え方を考慮する必要がある。
・政治と国民の関係性を作り直すことが必要。
・政治は、どういう社会を作るか、構想力を示さねばならない。
今回は衆議院議員で、自民党国会対策副委員長の福田達夫氏がゲストとして出演した。人生100年時代における日本の社会保障制度の設計について、政治ジャーナリストの細川珠生が話を聞いた。
まず細川氏は、高齢化が進行し人生100年時代となった今、これからの社会保障制度の設計について、政治はどう考えているのかについて尋ねた。
福田氏は「人生100年という言葉はもっとデリケートに扱う必要がある」と語り、「長生きすることは夢であるが、その夢を実現するのに社会的負担が課題となってはならない。政治は国民の価値観と考え方を考慮する必要がある」と述べた。
少子高齢化が進む日本において現行制度の踏襲の実現可能性に懸念を示した細川氏に対し、福田氏は「社会保障で老後を支えるという考え方に転換が必要」だと指摘した。
福田氏によると、これからの日本は子ども、働き手、高齢者がそれぞれ三分の一の割合を占めるため、現行の税金を頼る社会保障だけではなく、高齢化した社会でも実体経済で回る構造が必要不可欠で、そのため海外で稼げるマーケットが必要であるという。
福田氏は、政治がそこまでの意識の転換をしていないと指摘した。その上で、若い世代が社会保障の制度を支えながら、海外のインフレ成長の流れを取り入れることで、高齢者が住みやすい仕組みを作ることが求められるとの考えを示した。
次に、細川氏は日本経済が世界的にみて遅れを取っていることに言及し、国の発展に必要なことについて福田氏に問うた。これに対して福田氏は、日本人が「自分にとって豊かに生きるとはどういうことか」考えることが重要だとの考えを示した。
自分にとって豊かなものが何かを理解していれば、それに対して自信を持ち、より多くの人に知ってもらおうとするようになる。その結果豊かさが重点的に磨かれ、海外に推し進められることでマネタイズされる、と述べた。
また、福田氏は地域に掘り起こされていない価値が多く存在していることと、デフレーションを背景にモノの価値が縮小してしまっていることを指摘した。
日本人は自国の生産品の価値を小さく見積もっており、本来なら海外で1.5倍でも2倍の値段でも売れるモノを安いまま市場に出しているという。自分たちにとっての豊かさについて考えることでモノの価値を認識し、さらにそれを正しく評価することができれば日本はまだ成長できる、とした。「稼いだうえで、それに基づく新しい社会作りもまだ捨てたものではない」と福田氏は語った。
▲写真 ⒸJapan In-depth編集部
最後に国内の状況が変化している中で、政策の現状維持を主とする日本が意識を転換し、行動に移すための一歩は何かという細川氏の質問に対して、福田氏は「政治と国民の関係性を作り直すこと」と述べた。
そのために政治は2つの役割を果たさなければならないと説明した。1つ目は「国民に豊かの価値観を問うことを前提に、どういう社会を作るかという構想力を示すこと」、2つ目は「国民とともに社会を変えることに対する覚悟を持つこと」と述べた。「政治家は立場からすると国民から負託を受けているが、国民自身の気持ちがなければ前に進めない。そのため色々な方と話をし、気持ちを駆り立てる政治を作る必要がある」と福田氏は自身の思いを語った。
(この記事はラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2019年11月23日放送の要約です)
「細川珠生のモーニングトーク」
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この記事を書いた人
細川珠生政治ジャーナリスト
1991年聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。2004年~2011年まで品川区教育委員。文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。