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.政治  投稿日:2020/5/25

東京ロードマップから見える戦略のなさ 東京都長期ビジョンを読み解く!その92


西村健

 

 

【まとめ】

・東京都が休業要請を一部緩和する「東京ロードマップ」を発表。

・「東京ロードマップ」は経済脆弱性での視点がロジックでない。

・東京都の取組みは国の追随で、独自性や戦略は全く見えない。

 

緊急事態宣言が解除された。東京都では、先日、政府が緊急事態宣言解除の翌日から、休業要請を一部緩和する「東京ロードマップ」を発表した。休業要請を3段階。ステップ1では、動物園や水族館、飲食店は午後10時まで、ステップ2では、商業施設や映画館、ステップ3は、遊園地やパチンコ店という順序ですすめるそうだ。2週間単位で、緩和していくらしい。

【出典】東京都HPより

 

◆順序が逆だろ?

 

「クラスター発生」を根拠としていて、それなりに納得いくかもしれない。一生懸命頑張る都知事や職員には悪いが、大きな問題は2つある。

 

第一に、経済脆弱性での視点がロジックにないこと。各施設ごとの状況は以下に示すが、今回の被害を食らった業者がステップ3や枠外に位置づけされている。

【出典】東京都HPより

第二に、順序である。図書館・博物館などが先なのである。こうした施設はつぶれることはない。経営しないでもつぶれないところが先というのは意味がわからない。飲食店、カラオケの経営者がこの図を見たら、ショックを受けるだろう。

 

ホリエモンさんが「全く科学的ではない」、音喜多駿議員が「その「ステップ」を進める判断基準となる7つの指標に関して、「緩和の目安」となる数値が発表されているのは3つのみという超謎の事態」などまともな指摘を多くの識者が主張されていることも追記しておきたい。

 

◆世界の数字を見ているの?

 

そもそもCOVID-19をどう考えているのか。本当にその危機を正しく理解できているのだろうか。

 

「新型コロナウイルス感染症 COVID19診療の手引き 第2版」では、致死率は1.6%にすぎない。

【出典】「新型コロナウイルス感染症 COVID19診療の手引き 第2版」より

 

NHKの報道では、感染者のうち「死亡したのは全体の1.6%にあたる171人でした。最も多かったのが80代以上で87人、次いで70代が50人、60代は21人、50代は7人、30代と40代がそれぞれ2人」というレベルである。ほぼ60代以上がほとんど。

 

世界レベルに視野を広げて、70代、80代で見ても、

 

イタリア:73%

スペイン:70.1%

フランス:63.8%

ドイツ;72.1%

なのである。しかも、90代は10%程度いる。

 

ここまで世界が大騒ぎすることなのか、と一貫して思ってきたが、緊急事態宣言が解除された今、改めて声を大きく言おうと思う。

 

◆まともな戦略はあるの?

政府が緊急事態宣言を出したのは、医療崩壊を防ぐことが主要因であったが、病気としてどれだけ怖いかというと過去の感染症の歴史と比較してもそれほどではない。

【出典】筆者作成

 

1968年の香港風邪以下、1957年のアジア風邪以下、スペインかぜと比較しても・・・・というレベル。

 

東京都の取組みを見てきたが、結局、独自性や戦略は全く見えない。ただ、国に追随しているだけ。感染者を防ぐこと、死亡者を減らすこと、後者に重点を置いているのかが見えない。

 

死亡者を防ぐことを最重視して、ハイリスク者を徹底ガードする戦略もあったはず。ハイリスク者を徹底ガードする、面会する人には検査を実施するなど。そうすることで経済に大打撃を避けることはできたはずだ。

トップ写真)小池都知事記者会見

出典)東京都Facebook


この記事を書いた人
西村健人材育成コンサルタント/未来学者

NPO法人日本公共利益研究所(JIPII:ジピー)代表、ターンアラウンド研究所共同代表・人財育成コンサルタント、事業創造大学院大学国際公共政策研究所研究員・ディレクターなど。


慶應義塾大学院修了後、アクセンチュア株式会社入社。その後、株式会社日本能率協会コンサルティング(JMAC)にて地方自治体の行財政改革、行政評価や人事評価の導入・運用、業務改善を支援。独立後、組織改革、人材育成コンサルティング、政策分析、メディア企画、ソーシャル・イノベーション活動を進めている。


専門は、公共政策と社会心理。近年は、中国の先端技術、世界のスマートシティ、人工知能などテクノロジーと社会への影響、個人情報保護と民主主義の在り方、企業の利益相反、健康医療・福祉政策などをテーマに研究や執筆を進めている。

西村健

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