.政治  投稿日:2018/4/5

「対北朝鮮 圧力を弱めず米とタッグを」福井県立大学教授 島田洋一氏

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細川珠生(政治ジャーナリスト)

「細川珠生のモーニングトーク」2018年3月10日放送

 

【まとめ】

・トランプ大統領は国務省、韓国、対北融和派などに邪魔されず北朝鮮に核兵器廃絶を求めるためトップ会談を承諾した。

・北朝鮮への強力な圧力によって米朝首脳会談の合意になった。圧力は弱めないことが重要。

・日本はアメリカとタッグを組み拉致問題解決につなげるべき。

 

【注:この記事には複数の写真が含まれます。サイトによっては全て掲載されず写真説明と出典のみ記されていることがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttp://japan-indepth.jp/?p=39318でお読みください。】

 

平昌オリンピック・パラリンピックを機に、合同チームを結成するなど、南北融和モードが高まった。その後も首脳級の会談が行われ、ついにアメリカと北朝鮮が首脳会談を行うことに両者が合意。今後の北朝鮮情勢について、福井県立大学教授で国家基本問題研究所企画委員、拉致被害者を「救う会」全国協議会副会長の島田洋一氏に、政治ジャーナリストの細川珠生氏が話を聞いた。

 

■ トランプ大統領がトップ会談を望む理由

 

細川氏が米朝首脳会談の実現可能性について島田氏に問うと、「トランプ氏が首脳会談を受けると発言して、一番ショックを受けているのは北朝鮮だと思う。いまだに全く国内で報道していない。」と述べた。北朝鮮としては事務レベル協議から始めたいと考えていたが、トランプ氏がいきなり首脳同士でやろうといったので、北のほうも対応に現在苦慮しているところだと思う、というのだ。

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写真)米トランプ大統領と北朝鮮金正恩総書記
出典)Blue House (President Donald Trump’s portrait was taken by Shealah Craighead

 

では、なぜトランプ大統領はトップ同士の会談を望んだのか。自分のやり方でやろうという意思の表れなのかと細川氏が問うと、その理由について、島田氏は2つの理由を挙げた。1つは国務省に任せたくないということ、もう1つは韓国に仲介させたくないということだ。

 

1つめの理由について島田氏は「トランプ氏はこれまで国務省主導の対北朝鮮外交をずっと批判してきたが、それには一旦事務レベル協議が始まると、とにかく交渉を切りたくないということになる。北朝鮮が無理難題をふっかけてきて、それがきかないとなると、じゃあ帰るよ、という態度をとられる。すると、ちょっと待ってくれといってすぐ譲歩してしまうという組織の体質がある。」と述べた。トランプ氏はそれをできるだけ排除したかったというのだ。

 

さらにこうした動きは、米国内の対北融和派を排除するという意味で、ティラーソン国務長官の交代にもつながっているという。彼が国務長官になったのは、対北朝鮮融和派で有名なコンドリーザ・ライス元国務長官ロバート・ゲーツ元国防長官の推薦があったからで、アメリカ保守派の間ではもともとティラーソン氏への不信感があった。そこで、ティラーソン氏を外して、対北強硬派とされるポンペイオ氏を起用したのだ、と島田氏は分析した。

 

もう1つは、韓国の排除だ。「韓国は自分たちが仲介役になって事実上、北の意向にアメリカができるだけ沿うように持っていこうとしたと思うが、その韓国も排除するという意味合いがあったと思う。」と述べ、トランプ氏が単なる思い付きではなく、戦略的に対北外交を進めているとの見方を強調した。

 

■ なぜ北朝鮮への圧力を弱めてはいけないか

 

今回、米朝首脳会談の合意に至ったのは、北朝鮮が制裁で苦しくなってきたことが大きな要因になっている、と島田氏は分析する。「トランプ氏は、金正恩氏のことを”小さなロケットマン”といったり、”シックパピー=病んだ子犬”といったり、ぼろくそにいって、経済制裁も強め軍事的な圧迫もどんどん強めた。アメリカのリベラル派は、これでは北が対話に応じるわけないと言っていたのに、全く逆に圧力をかけることで北朝鮮が折れてきたので、トランプ氏は意気揚々だ。」と述べ、圧力が対話の流れを引き出したと解説した。

 

さら島田氏は「圧力政策の結果、北が折れた態度にでてきたわけだから、圧力を絶対ゆるめてはいけない、といっているし、それは安倍さんの考えとも一致しているのでそこをゆるめないというのが1番大事だと思う」と解説した。

 

細川氏は、日本を飛び越え米朝が協議することは、日本にとって大きな問題であるとした上で、日朝首脳会談をすべきだという意見もあるが、との考えを示した。これに対して島田氏は「仮に安倍首相が会談にのぞむとすれば、拉致被害者を全員帰りの飛行機に乗せるということまで確約しないと意味がない。安倍さんもそういう意識もっていると思う。」と述べ、安易に首脳会談をすべきではないとの考えを示唆した。

 

米朝首脳会談の実現可能性

 

細川氏が、会談の実現可能性について問うと、島田氏は、アメリカ側としては「北朝鮮が核ミサイルを廃棄しないと本当に攻撃する、ということを明確に伝えることがポイントだ。」と述べた。

 

今回のオリンピック開会式の際、アメリカのペンス副大統領とキムヨジョン氏との会談を、韓国も間に入ってやるという話を進めていた。その際、ホワイトハウスでは「北朝鮮みたいな人権抑圧国家と副大統領レベルがあっていいのかと」という点でかなりの議論になったそうだが、トランプ政権としては、「北側が核ミサイルを廃棄しないと本当に攻撃する、それを副大統領が明確に伝える、そういう趣旨の会談で応じよう」という方針が固まっていたという。

 

韓国の影響力と日本がすべき対応

 

細川氏は、北朝鮮に融和的政策をとる韓国は、日本にとって懸念材料である、と述べ、韓国のこうした姿勢が国際社会に影響を与えることに対して懸念を示した。

島田氏は、韓国政府は北に対する融和政策するうえで拉致のような人権問題を出すと障害になると考えているので、「拉致問題や、その他人権に関することは取り上げないようにという方向に動くと思う」と述べた。

 

そのため、日本は今後、「アメリカときちんとタッグを組んで、北朝鮮を人権問題で攻めていく姿勢(が求められる)。韓国はむしろ妨害してくるとみておかないといけないでしょう」と述べ、拉致問題解決は、アメリカとしっかり認識を一にする必要があると強調した。

(この記事はラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2018年3月17日放送の要約です)

「細川珠生のモーニングトーク」

ラジオ日本 毎週土曜日午前7時05分~7時20分

ラジオ日本HP http://www.jorf.co.jp/index.php

細川珠生公式HP http://hosokawatamao.com/

細川珠生ブログ  http://tamao-hosokawa.kireiblog.excite.co.jp/

 

写真)福井県立大学島田洋一教授(左)、細川珠生(右)

©Japan In-depth編集部

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この記事を書いた人
細川珠生政治ジャーナリスト

1991年聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。2004年~2011年まで品川区教育委員。文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。

細川珠生

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