アジアに飛び出せ!日本の閉塞感を打破せよ![フィリピン・セブ島で活躍する日本人]
呉宗樹(ユナイテッド・リグロース株式会社 代表取締役CEO)
日本からセブ島へと語学留学に来る数が全く止まらない。毎年倍々ゲームを続け、昨年はフィリピン全土で年間約3万人を数える。そしてそれをきっかけにして、活気あるアジアに魅了され、現地で起業や、海外で就職をするという動きも少しずつ出て来ている。私自身もその中の1人だ。
「でも、一体何故セブ島で起業したの?」
殆どの人に聞かれる質問であるが、理由は大きく分けて3つ
- 海外ビジネスの『入門編』として適した場所である。
- フツーの人でも『日本から来た』というだけで、バリューを出せる。
- 圧倒的に『生き抜く』パワーが養われる。
何故この理由になるかは今後述べて行くとして、東京からたった4時間半程飛行機に乗るだけで、人生観がガツンと変わる衝撃を受ける。それは日本で『たまたま』生まれたという事実が、世界の中で見ればどれだけ恵まれた環境であり、とてつもないアドバンテージを持っているという事を、現地に根付き生活してみる事ではっきりと認識する事になるからである。ただ観光地に遊びに来て表面をさらりと舐めただけでは、本質には気づかない。
日本も近年ITベンチャーへのエコシステムが整備されて来て、起業ブームとなっているが、IT業界の賑わいを横目に、製造業を始めとしたそれ以外の業界は依然として国内市場では厳しい戦いを強いられている。
先週の佐藤さんの寄稿にもあったように、今後のアジアは嫌でも伸びていく市場だ。何せ、兎に角足りない物だらけ。当然先進国から行けば、何をするにしてもビジネスになる可能性を肌で感じることができる。
日本の様に、道を歩けば至る所にあるコンビニもないし、美味しいレストランも多くなければ、生活インフラ関係も当然まだまだだ。安心・安全・高品質の商品やサービスを提供する日本企業の進出を現地では今か今かと待っている。
国内の人口縮小という、避けては通れない問題を考えれば、日本市場だけでビジネスを考える事は、波がない所でサーフィンをするか、風が無い所で凧揚げをするか、下りエスカレーターを一生懸命上に向かって走るのと一緒だ。
先行きの見えない未来に不安を抱え殻に閉じこもるのではなく、もっと日本人が活躍出来る場所は世界に沢山ある。特に若い世代には失う物は何も無い。
近視眼的に国内だけを見ていると、時間とチャンスを失う。 少なくとも日本で中学校までの義務教育を受けていれば、今のアジアであればチャンスは無限大だ。もっと自信をもって飛び出して欲しい。そして海外で揉まれ、強くなってから日本に戻る事で、今の閉塞感漂う日本に大きな盛り上がりを作れる筈だ。それが若い世代が果たすべき役割だと思っている。
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【今回の執筆者紹介・呉宗樹】
1983年生東京生まれ。 海外に全く興味が無い学生生活を日本国内で過ごし、大学卒業後不動産会社に就職。その後アジアを周り、中国の電子商取引最大手アリババにて日本企業の海外事業戦略立案やITを通じた海外販路開拓支援に従事した後、アジアの底知れぬ可能性を感じ渡比。 2012年企業と人材の海外進出をミッションに2人の仲間と共にセブ島にて起業。社会人経験者の為の語学学校『オトナ留学』や海外起業家育成のためのインキュベーションオフィス『AJITO』の運営等を行っている。現在、ユナイテッド・リグロース株式会社 代表取締役CEO