[山田厚俊]2012年に廃案の「労働安全衛生法改正案」が再提出?!〜「メンタルヘルス検査の義務化」と「受動喫煙防止対策の義務化」のココが問題!
山田厚俊(ジャーナリスト)
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第186通常国会が1月23日、召集された。今国会でぼくが注目しているのは、2月下旬にも法案提出を狙っているという労働安全衛生法改正案だ。この法案は実は、2012年の臨時国会で廃案になった法案。前回問題となった点は「メンタルヘルス検査の義務化」と「受動喫煙防止対策の義務化」だった。
なぜか。
メンタルヘルス検査は、うつ病対策を企業に義務化するという“大義名分”だが、チェック項目はわずか9項目。従業員がごまかそうとすればできる。ごまかして「問題なし」となれば、その後、過労死などのトラブルになっても事業者側の責任は免れる恐れがあるという。反対に、正直に答えた結果、軽いうつ症状の疑いがあるとした場合、多くの従業員が精神科医に通い、薬漬けになる可能性が指摘されていた。
また、受動喫煙防止に関しても、ぼくはさまざまなところで書き続けているが、「分煙」ではなく禁煙に向けたステップで、これまた受け入れがたい中身だった。紙幅の関係上、多くは書かないが、トンデモナイと言われた法案なのである。
それがいま、また「メンタルヘルス検査の義務化」については前回と同様の中身で、「受動喫煙防止対策の義務化」は「努力義務」にちょこっと変えただけで再度、提出するという。いわば、一度死んだ法案がまたぞろ生き返ってきた“ゾンビ法案”なのである。
厚労省関係者は、こっそりとこう明かす。
「前回は、野田佳彦首相(当時)が突然解散したことにより、廃案になった。審議半ばで無念の廃案だったのです。今回は化学物質管理のあり方など新たな項目も盛り込み、もう一度審議の上、可決させたい」(厚労省関係者)
しかし、メンタルヘルスも受動喫煙もデメリットばかりが浮き彫りになったにもかかわらず、また盛り込んだのだ。今度は十分な審議を重ねた上でしっかり“成仏”、つまり廃案にすべきだと思っている。
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