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.政治  投稿日:2021/2/19

香港弾圧に抗議の署名1万超


安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)

【まとめ】

・香港民主派への弾圧に抗議する署名約1万3000筆が、外務副大臣に手交された。

・呼びかけ人ら、香港からの難民受け入れや中国・香港政府へのプレッシャーを日本政府に要請。

・鷲尾外務副大臣「重大な懸念」表明、「国際的プレッシャーが必要」。

 

周庭(Agnes Chow : アグネス・チョウ)さんといえば、香港民主化の女神として日本でも名の知れた人物だ。まだ大学を卒業したばかりなのに、今は獄中の身だ。

▲写真 2019年8月30日逮捕後、保釈された周庭氏。 出典:Anthony Kwan/Getty Images

香港の民主化運動を巡っては、2020年に反政府的な動きを取り締まる

国家安全維持法」が制定され、これまで数多くの民主派が逮捕されている。周庭さんもその一人である。

周庭さんはその流ちょうな日本語を駆使し、日本メディアの取材を積極的に受け、香港の状況を逐一発信してきた。YouTubeの「周庭チャンネル」は登録数33.4万人。Japan In-depthチャンネルにも出演している。

その周庭さんや香港の大手紙「蘋果日報(アップルデイリー)」の創業者にして「香港のメディア王」の異名を持つ黎智英(ジミー・ライ)さんらの不当な逮捕と訴追に抗議する署名が1万2907筆(北海道大学研究者らのイニシアティブによるものとchange.orgを通して集めたものを含む。2021年2月17日現在)集まり、2月18日、鷲尾栄一郎外務副大臣に手渡した。

▲写真 今回集まった署名 ⒸJapan In-depth編集部

超党派国会議員で構成する「対中政策に関する国会議員連盟(Japan Parliamentary Alliance on China:JPAC)事務局長の長島昭久衆議院議員の尽力もあり実現した。

▲写真 抗議の署名手交後の記者会見で発言する長島昭久議員 ⒸJapan In-depth編集部 

呼びかけ人は阿古智子(東京大学教授)、伊藤和子(弁護士、ヒューマンライツ・ナウ事務局長)、五野井郁夫(高千穂大学経営学部教授)、倉田明子(東京外国語大学准教授)、土井香苗(弁護士、ヒューマン・ライツ・ウォッチ日本代表)ら。筆者も名を連ねている。

change.orgのキャンペーン「周庭さんなど香港民主活動家たちへの政治的弾圧に強く抗議し、日本政府へ早急な対応を要請します」では以下の4項目を日本政府に対して求めている。

●中国政府及び香港政府に対し、国家安全維持法違反で逮捕・保釈された周庭さんや黎智英さんなど、非暴力で発言・行動してきた香港の人びとの立件・訴追をすぐに取り下げるよう公に求めること

●香港からの避難民の受け入れのための新たなスキームの導入・整備(市民への安全な避難場所の提供)

●国連の人権理事会の場で中国政府・香港政府による人権侵害について討議の場を設けるよう求めること

●国家安全維持法違反やその他の政治犯の容疑による捜査に協力を拒否するため、中国・香港と締結している捜査共助条約にもとづく証拠の確保・引渡には応じないことを表明すること

鷲尾栄一郎外務副大臣は、「政府として香港の情勢には重大な懸念がある。(今回の署名については)関係省庁と共有したい。一国二制度の国、香港の根幹である言論・報道の自由は尊重しなければならない。香港が民主的、安定的に発展することが重要だ。昨年11月王毅中国外相が来たとき、茂木敏充外務大臣から、香港の問題について日本政府の重大な懸念と日本政府の立場を明確に伝えた。これからも関係国と連携取りながら対処して行きたい」と述べた。

また、中国に対する圧力に関して鷲尾副大臣「人権問題は普遍だ。国際社会でプレッシャーかけて、良い意味で変えてもらう」と述べた。また、(香港からの)難民については、「(日本の法律では)政治犯は引き渡さないことになっている」と述べ、今回の香港情勢を受けての法改正は行わないとの考えを示した。

こうした中、2月16日、中国海警局の船2隻が尖閣諸島沖合の領海に侵入、一隻は武装していたとの情報もある。武器使用を認める「海警法」施行後初とみられるが、中国による日本の尖閣実効支配を覆すかの動きは強まる一方だ。

こうした中国の動きに対して、国会も日本政府も明確な態度を打ち出せていない。呼びかけ人の一人、五野井郁夫高千穂大学経営学部教授は、今のこの状態を「グローバルチャイナオーダーへの過渡期」と称した。日本を含む民主主義国家のイデオロギーと人権など普遍的価値への中国の挑戦にどう対峙するか、今問われている。

▲動画 Japan In-depthチャンネル「ROSE EYE」民主化の女神アグネス・チョウさんに聞く 香港の今!」

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トップ写真:署名を鷲尾栄一郎外務副大臣に手交する呼びかけ人ら(外務省内) ⒸJapan In-depth編集部




この記事を書いた人
安倍宏行ジャーナリスト/元・フジテレビ報道局 解説委員

1955年東京生まれ。ジャーナリスト、産業能率大学客員教授。慶応義塾大学経済学部、国際大学大学院卒。


1979年日産自動車入社。海外輸出・事業計画等。


1992年フジテレビ入社。総理官邸等政治経済キャップ、NY支局長、経済部長、ニュースジャパンキャスター、解説委員、BSフジプライムニュース解説キャスター。


2013年ウェブメディア“Japan in-depth”創刊。危機管理コンサルタント、ブランディングコンサルタント。

安倍宏行

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